氷雨水葵

ROOM237の氷雨水葵のレビュー・感想・評価

ROOM237(2012年製作の映画)
2.7
2022年179本目

◆あらすじ
スタンリー・キューブリックの代表作『シャイニング』には、さまざまな謎が隠されている。

これは、5人のキューブリック研究家が『シャイニング』論を展開し、伝説的映画に秘められたミステリーの解明に挑むドキュメンタリーである―――。

◆感想
U-NEXTでの視聴が12月18日までだったので鑑賞。

まず始めに

「本作品中の視点や意見はあくまでも
コメンテーターたちの私見であり
スタンリー・キューブリックや
「シャイニング」の製作者の意見は
反映されていません」

というテロップが出ます。

まぁ「こじつけだ!」って言う人が多いことを見越してのテロップだと思いますが、このテロップを見てもやっぱり「こじつけだ!」と思ってしまう(笑)
コメンテーターたちの『シャイニング』に対する想いや情熱は伝わってくるけれど。ただ、’’異常’’ともいうべき研究内容に「んんんん…。」と頭を抱えてしまいそうになりますね。どれだけ好きな映画でもコマ送りにして観たことはないし、オーバーラップする瞬間に何があるのかなんて考えたこともないです…。
‘’カルメット’’のふくらし粉缶だけで、ここまで語れるのはもう崇拝や妄想に近いよね。タイプライターがドイツ製で’’42’’という数字からホロコーストをイメージしたり、キューブリックの顔がオープニング・クレジットに隠されていたり(←私には見えませんでした)、「そんなアホな」と思わずにはいられないです。

とはいえ、ダニーがホテル内を三輪車で走り回るシーンや、本作のポスタービジュアルである六角形のカーペットの模様が変わるシーンには「ほお」となりました(笑)地球から月までの距離が237,000マイルで、禁じられた237号室が「MOON ROOM」で、すべてがウソというのも面白い考察。

80年代の作品なので画角的に何かが映りこんだり、次の瞬間には何かが消えていたり、そういうことは多々あるだろう。コメンテーターたちはキューブリックを崇拝するあまり、盲目的になっていて、それすらも「何か意味があるのでは?」と思ってしまうんですね。とくに『シャイニング』みたいな少し特殊(?)な作品は、観る人によって観方が変わってくるのは当然のこと。でも、大袈裟だしこじつけだし、どう観たらそんな考え方になるの?となってしまいます。

『シャイニング』は好きだし、キューブリック作品は『時計じかけのオレンジ』や『フルメタル・ジャケット』くらいしか観たことないから、なんとも言えないドキュメンタリーでした。
氷雨水葵

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