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花咲くころのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

花咲くころ(2013年製作の映画)
4.0
「少女」の概念のある国は豊かで幸せだ。豊かで平和な国では、大人になる前のけがれのない輝く美しいときをすごすものだと思い込んでいる。
略奪婚による児童婚の因習が残るグルジアの14歳の女性たちは、成熟した肉体をまだ持たないが、精神も人生の経験も、考え方も、十分に成熟した大人だった。

結婚によって学校を辞めざるを得なくなり、実家より裕福な夫の家族と同居し、家事労働に就き、子供を産み育てる。いずれ家庭内では結果的に力をもつのだろうが、社会では働き手になるのは難しい。男性の経済力に頼る構造。一家の主がそのプレッシャーの中でアル中になったり、犯罪を犯せば生活は苦しくなる。

そんな家族を背負った勝ち気なナティアとクールなエカ、二人の物語。

時代は、グルジアがソ連から独立し内戦のあった直後、不安定な政治経済と品不足で人びとは苛立っていた。

互いが心の拠り所である二人。
この友情はスイートな女の子のそれとは違い、痛み分けのようで人生と闘う同士のようだった。

セリフは少なく、表情でみせていく。長回しでカメラの動きに臨場感があり、その場にいるかのような感覚になる。

ナティアを守りたい少年から渡されたもの。自分や同士を守るために武器は要らないとエカは考える。

これはグルジアの置かれている政治的状況をメタファーに表していると感じられた。

続きを観たいと思った。この先も彼女たちは、きっと不条理な世の中にちゃんと楯突いていくだろう。クールなエカが熱くなって怒り、熱いナティアがエカをなだめる、そんな画が目に浮かんだ。
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