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死んでもいいのparaのレビュー・感想・評価

死んでもいい(1992年製作の映画)
4.0
逝ける映画人を偲んで 2021-2022

実際に起きた事件を元にしたクライムノベルが原作。
長回しが印象的な作品。
とにかくキャスト陣が素晴らしい。室田日出男、大竹しのぶ、永瀬正敏。
そして始まりと終わりが特に良し。

公開時、永瀬のファンだったので劇場鑑賞。
流れるちあきなおみの『黄昏のビギン』が素敵すぎて3回映画館に通い、そして今回年月を経て国立映画アーカイブにて鑑賞。
鮮明に記憶に残っていたシーンもあれば、完全に抜け落ちていたシーンも多数。
黄昏のビギンは脳内で勝手な映像と共に記憶に残っていたことに愕然とする。人間の記憶って当てにならないのだ。
あんなに印象的に使われているにも関わらず、弦楽のためのアダージョなんてまったく覚えていなかったことにも軽いショック。

帰宅後に当時のパンフレットを引っ張り出して読む。
撮影日誌など当時の石井組の雰囲気がわかるし、なにより冒頭の石井監督のコメントが深い。
火を求めて飛び込む蛾。
火を見たいがために人は人を求めるのか。
人が人を求め、独占欲の塊になった時に湧き上がる感情。そんな人間のサガを描いた作品。
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