菩薩

死角関係 隣人夫婦男女四人のからみ合いの菩薩のレビュー・感想・評価

4.4
放送コードを遵守しているせいか突き抜けた感じはない、と言いたいところだが神代は火サスでも神代と言ったところではないか。将棋を指そうとの息子の誘いを断りプロレスをしようとおっ始める母、綺麗な4の字固めが決まっている横で丁寧におむすびを結ぶ森本レオ、意味が分からないがこれはまだマシな方で、酒井和歌子のメンタルが崩壊して行くにつれ奇行が増えていく。投石により破られた窓ガラスを補修中に粘着テープを右手にグルグル巻き付ける、何かがこびりついているわけでは無い鍋の底をひたすら金ダワシで擦る、濡れてもいない雨傘を並べて乾かそうとする、極め付けはやはり窓の外に向けショットガンを構えるだろうか、つかなんで一家庭に普通にショットガンがあるのか意味が分からない。濡れ衣を着せられた石橋蓮司に対する取り調べ室での可視化が必要な暴力シーンもいちいち凄い。狂った物語の中で戸川純は戸川純でしかないし、むしろあの戸川純が一番「冷静」である時点でこのお話がどんな物かお分かり頂けるのではないかと思う。深田晃司の『よこがお』なんてまさにこれだと思うし、ひたすら「強く貞節な女性」を求める女性記者2人組の目の剥き具合がホラーでしかない。鏡の用い方や離婚届の取り扱い方に関しては『恋文』と同じか。雨降る車内でフロントガラスは徐々に流れる泥で覆われていく、デッサンは全て修正液で塗り潰される、罪なき者は罪を着せられ、穏やかな家族は不幸で包み込まれる。
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