松原慶太

孔子の教えの松原慶太のレビュー・感想・評価

孔子の教え(2009年製作の映画)
3.0
儒学の祖・孔子の生涯を描いた伝記映画。この伝説上の人物を、チョウ・ユンファが演じ、見ごたえがある。

紀元前の中国・春秋戦国時代、理想を実現すべく、あくまでも現実の国政にたずさわろうとする孔子だが、時代の激流に翻弄され、やがて祖国を追われ、流浪の旅に出ることにやる。

中島敦は「弟子」のなかで、孔子を「この人はどこに出しても大丈夫な人だ」というふうに描写している。つまり、浮世離れした仙人然とした人物ではなく、体力武力とも人並み以上にあり、風貌も立派で、ごくごく常識的な意味において、魅力的な人物であったと。この意味からして、チョウ・ユンファのキャスティングは当たっていると思う。

予備知識抜きには分りづらいストーリーで、とりわけ後半、有名な弟子である顔回や子路が亡くなるあたり、バタバタの展開なのがもったいない。

とはいえ、全体的に力の入った壮大な歴史絵巻だと思う。個人的に、孔子と老子が対話するシーンはけっこう興奮した。
松原慶太

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