フランコ

真昼の不思議な物体のフランコのレビュー・感想・評価

真昼の不思議な物体(2000年製作の映画)
4.3
ドキュメンタリー的な等身大の距離感で被写体に迫り、その場でファンタジーなあらすじを紡ぎあげて行くという気ままさは長編デビュー作にしてさすがの風格。女性のスカートから物体が転げ落ち、少年の脚が不自由なのは飛行機墜落事故のせいってことになるし、最後も話が収束したと見せかけてサッカーボールが湖?に落ちる。物体は宇宙人説もあるし、降臨がモチーフなのかもしれない。話もカットもゆるふわだが、モノクロの光彩は強烈。劇団で使われてた笙みたいな楽器がカッコよく、ペンタトニックでコルトレーンを感じた。

日英両言語の字幕が付いてたのでつい両方に目が行ってしまったが、劇団のシーンでドークファー先生を奪われた男の子の日本語字幕が「僕はまだ力不足だけど」みたいになってたけど英語字幕は "I am nothing but an ant trying to protect a mango tree (僕はマンゴーの木を守ろうとしてるアリに過ぎない)" ってなってて、原語わからないけどこの土着的で詩的な表現活かしてほしかった!あと序盤で移動販売の人が日本語字幕で「サバだよー」って言ってたのが英語では"tuna (マグロ)"で、どっちやねんと思ってたが「蒸しても焼いても美味い」と言ってたのでサバな気がする。

2019/8/15 早稲田松竹
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