シンタロー

愛の嵐のシンタローのレビュー・感想・評価

愛の嵐(1973年製作の映画)
4.0
元ナチスのホテルマンと、戦時下で彼の性玩具にされていた指揮者の妻が再会するところから始まる破滅的な男女の物語。ナチズムを描いた作品は多数ありますが、性という観点から、ここまで極限状態の性的倒錯を表現したことにこの作品の価値はあるんだと思います。決して美化されるべき話ではありません。マックスの台詞で印象的なのが「異常とか正常とか誰が決める」「僕はあえてドブネズミの人生を選んだんだ」罪が暴かれる恐怖の一方で、タブーを犯した背徳行為の快感が忘れられない。対するルチアもマックスの性玩具になることで戦時下を生き延びた女。再会によって悦びが体に甦ってくる。あの異様な笑いがすべてを物語ってます。ダーク・ボガードとシャーロット・ランプリングにしか表現できなかったであろう世界観だと思います。特にランプリングが裸にサスペンダーの軍服姿で歌うシーンはいまだに語り継がれる名シーン。野性的であり、中性的でもある、唯一無二の独特な妖しさがある女優で、個人的には大好きです。ラストについては、これ以上ないハッピーエンドなんだと思います。
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