Habby中野

冬冬の夏休みのHabby中野のレビュー・感想・評価

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
4.2
トントンの夏休み、ぼくの夏休み。
なーーんにもない台湾の田舎、なーーんてことない事件、なーーんとなく良い夏休み。退屈、冗漫、不足、静安。そんな中の田舎の景色はなんとなく良くて、おじいちゃんの古い家、真っ黒に焼けた友だち、きれいな川、亀、不思議な大人たち、牛、どれもかすかにひっかかる。
たぶん退屈な人たちの退屈な風景なのに観ていて退屈じゃないのは、それは思い出なのだと知っているからか、いやそれとも不思議な構図や、音のつなぎ方からか。ちょっと出来すぎなトントンの手紙は、それがいずれ忘れてしまうような思い出に変わる瞬間でもあって、少しだけ寂しくなっちゃう。何気ない映画と捉えてまちがいはないのだけど、それはじつは良くできた何気なさでもあることは、いつか大人になって思い出した時に気づければいい。いやいや、もっとたくさん思ったことはあったろうけど、手が疲れたのでここまで。
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