くろねこヤマ子

冬冬の夏休みのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
4.0
こう暑いと
アジア映画が観たくなる。
冬冬の夏休み、
とっても良い映画でした。

何が良いって
子供の感性の描き方。
まさにそう!と
頷いてしまう
侯孝賢監督の描き方。

大人がこうあって欲しい子供じゃなくて
その年齢の子供を
きちんと描いている所に好感を持つ。
訝しさを持たずして物語に入れる感じ。

台北からやってきて
田舎でひと夏を過ごす兄妹。
土地の子ども達とさらりと仲良くなって
気がついたら川遊びをしちゃうなんて

なんだろう、私もそんな風でした。
(牛ではなくアヒルが居た川…)

そんな中、時折起きる小さな出来事。
生と死や、犯罪。
大人の事情や、性を感じさせるもの。
服が川に流れたり…悪戯的なものも。

日々の出来事と病床の母を案じて
冬冬は手紙を書く。

毎日色々あるけれど、
手が痛いから続きはまた書きます。

あー、確かに子供ってそんな文を書く。
笑っちゃうけど。そんなのばっかり。
素直すぎる、サービス精神皆無な感じ。

そんなわけで、ノスタルジー。
田舎の情景に魅了される、
撮り方の美しさ。
ゆるい、原風景のようなところ。

心が物語にのっていく、
懐かしい子供時代。
自分が子供であった事を
緩やかに思い出させてくれる。
柔らかな感情が揺さぶられ、
安堵にも似た感覚へ。
そんな優しい作品でした。