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冬冬の夏休みのMOTOのレビュー・感想・評価

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
5.0
アマプラでデジタルリマスター版を視聴

病気の母親が手術をするため祖父母のいる田舎で夏を過ごすことになった兄妹の物語。

80年代の台湾映画だが、田舎に広がる光景は昭和30年代の日本のようで『となりのトトロ』『マイマイ新子』のよう。

トトロ、マイマイ新子と違うのは冬冬が男の子ということ。田舎に着くやいなや、ラジコンの車を田舎の子が持ってきた亀にぶつけて、交通事故だ〜ギャハハ😂みたいな遊びで盛り上がる頭の悪さ、これぞ昭和の男子小学生のメンタリティ。

一歩間違えれば死に繋がるような危険な遊び、危険な場所にはどんどん首を突っ込んでいく、後先考えない無鉄砲さは子供時分の自分も持っていたもので懐かしくも穴があったら入りたいリアリティで強烈に惹きつけられる。

そんな男の子の馬鹿さ、男の子が大人になっただけの大人の滑稽さ、女性達の絆などを描いた素晴らしい映画。

本筋からは外れるが、自分の娘を孕ませた不届き者と父親が戦うシーンは『非情城市』のヤクザの抗争シーンを思い出す滑稽なシーンで、命の取り合いもロングショットの視点からは喜劇にしか見えないように、全編が一歩引いた悲喜劇に満ちていて、どうしようもなく愛おしい映画です。
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