チッコーネ

泣く男のチッコーネのレビュー・感想・評価

泣く男(2014年製作の映画)
3.0
「アメリカのジャズダイニング」という設定の冒頭には意外性があり、洒落た雰囲気。
主人公には暗く繊細な性格が与えられており、コメディ演出も皆無。
しかし見せ場には銃撃/肉弾戦がてんこ盛りゆえ、タイトルに紐づくトラウマ開示場面やラストシーンは、「せっかく」にも関わらず説明不足気味で印象も薄い。

白昼の団地で繰り広げられるショットガン対決は、エキストラ不在で「IS?」と呆れたくなるほど非現実的。
終盤は現代的な高層オフィスビル内での闘いにシフト、美しい照明は背景のハイテク美術と無理なく融合し、血だらけの役者たちをクールに浮かび上がらせる。
近年は「ホン・サンスの愛人」を自認し最前線から消えたキム・ミニにも、充分な活躍の場が与えられていた。