天豆てんまめ

ニシノユキヒコの恋と冒険の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

ニシノユキヒコの恋と冒険(2014年製作の映画)
3.6
竹野内豊で1番いいかも。

稀代のモテ男ニシノユキヒコの人生と彼の葬式に集まる彼にまつわる女性たちの物語。

川上弘美の原作が好きでした。

葬式での回想と集う過去の女性たち。
思い出したのはこの2作品。

不朽の名作「生きる」の逆。
彼はそれほど真剣に生きてない 笑

市川崑監督の「黒い十人の女」の逆。
浮名を流してもなぜか憎まれない 笑

ある意味、風のように女たちの前に現れ、ひと時の愛(もしくは夢?)を残し、風のように去っていく。そんな彼の人生。幸せだったのかな。。

竹野内豊
原作のニシノユキヒコのイメージを纏ってたと思う。冒頭すぐ交通事故で死んじゃう。幽霊で出てきても違和感なし 笑 彼はさらさらさらりと女性たちの間をすり抜けるようにつかみどころのない男。かっこよくて優しくて色気もあってモテるけれど実像は薄く透き通るよう。彼は幽霊になって現れるけれど生きてた時も手を伸ばしてもスゥーっと通り抜けて掴めない感じの存在の不確かさを漂わせる。

麻生久美子
冒頭で小さな娘と一緒。西野君と3人でオープンカフェ。 そして最後も彼女で締める。爽やかな彼女の美しさが輝く。

麻生さんの旦那さんのスタイリストの伊賀大介さんはかなり映画オタクで幾度か映画話で盛り上がりました☺️麻生久美子さんは一度ご挨拶しましたがそのままの美しい方です。芸能人的な雰囲気を出されない自然体の方でした✨

中村ゆりか
大きくなった麻生久美子の娘。死んだ西野君の幽霊が訪れる。一緒に西野君の葬式に行く。

阿川佐和子
料理教室で西野君と出会ういわば語り手。チャーミングでめっちゃいい味出す!もっと阿川さんの演技見たいなぁ。佇まいと醸し出す雰囲気が素敵です。

尾野真千子
彼女が1番良かった。切ない。西野君の3つ上の上司。西野君のこと考えてニマニマする顔面白い。好き過ぎる感じ出てたけど西野君の本質に気付いてる。だからプロポーズを断る。西野君は誰のものにもならない。彼女のぽつりと呟く台詞がいい。

ニシノユキヒコが幸福でありますように。

本田翼
西野君につきまとう年下の元カノ。今彼いるけど西野君と温泉。2人で浴衣で射的で遊ぶ。イケイケないい味出してます。「宿に帰ってSEXしよ」「加奈子ってもしかしたらSEX魔神?」なかなか聴かない台詞の応酬とイチャイチャが続きます 笑

成海璃子と木村文乃
西野君の隣に住んでる女子カップル。2人の猫が西野君の家に上がり込んだ繋がりで成海璃子も勝手に上がり込んで一緒にお風呂入らない?なんて言う。木村文乃は奔放な成海璃子の世話ばかり。腰に当てて瓶から牛乳🥛飲む姿がかっこよくて切ない。

彼女たちの猫が毛づくろいで肉球舐めるのが超可愛い😍白黒ブチで実家で18年一緒に育ったリリにすごく似てる😢この場面だけでこの映画を観た甲斐がありました 笑

以前「武士道シックスティーン」のレビューに書きましたが昔、平日夕方の新宿の映画館でシュールな体験をしました。予告が始まり本編というタイミングで隣の席に荷物を沢山抱えた女子高生が私の前を跨いでドカンと凄い勢いで座った人がいたので、驚いて観ると、、成海璃子本人でした。

目の前のスクリーンに写っている主演女優と隣で映画を観るという「カイロの紫のバラ(ウディアレン作)」のような体験はあの時だけです。映画に全然集中出来ないからおススメできません 笑 

映画としては「人のセックスを笑うな」の井口奈己監督の長回しやどこか温もりと懐かしさ漂う映像美がこの作品に合っていて良かった。

ニシノユキヒコの風のような人生ってどうなのかな。

なんだか寂しくて情けなくて憎めない。

不思議と爽やかな余韻の残る映画でした。