せーや

フォックスキャッチャーのせーやのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
3.6
レスリングのユニフォームは
どうしてああゆうデザインなの?
発明者が変態なの?

ロス五輪のレスリング金メダリスト、マーク・シュルツ。
彼は次のソウル五輪に向けてメダル獲得を目指すデュポン財閥のレスリングチーム「フォックスキャッチャー」から誘いを受ける。

1996年に実際に起きた事件の映画化。

これってもうネタバレしてるよね?
なぜデュポン財閥の御曹司は金メダリストを殺したのか。

この事実ありきで
ジョン・デュポンという男に翻弄された者たちが
一体どのような関係を築いたのかを紐解いていく映画。

正直言って、
かなりしんどい。
バイト終わりに見る映画じゃなかった。

だって主要キャストほとんど(つまりデイヴ以外)が
精神的に闇を抱えてるからさ。

ジョン・デュポンは精神的にヤバい人。
マーク・シュルツはかなり根暗な男。
こんな二人を主役にされるとね…。

一代で財を成した「創業者」は価値が高く
二代目となる「御曹司」は価値が低い。
社長の息子はロクな奴がいないってのが通説。

今回のジョン・デュポンはどうでしょう。
精神的な問題を抱えています。
しかし、その他の面ではどうでしょう。

彼は事業を失敗させたでしょうか?
いいえ。
彼は人々から嫌われていたでしょうか?
いいえ。

彼が事件を起こしたのち
インタビューを受けた関係者は口を揃えて言います。
「彼がそんなことをするなんて驚いた。」

彼は御曹司としてはマトモな方だった。
少なくとも、周りからはそう見えていた。

彼の「闇」が見えてくるのは
マークとの関係が崩れ始めたとき。

「私を満足させてくれるのは誰だ。」

一方のマークはどうでしょうか。

彼は金メダリストで人望も厚いデイヴ・シュルツを
兄にもち、常にその栄光に隠れていた。
だからこそ光ではなく影を覗いてくれたデュポンに
心底惚れてしまった。

「彼だけが僕を認めてくれる。」

「支配」したい欲求と
「承認」されたい欲求。

ふたつの欲求は
本来なら上手くいくはずだったのに。

彼らの世界には別の人間がいた。

デイヴ・シュルツ。
自分は求めていないのに
自然に「支配」し「承認」される人物。

結局、デュポンもマークも
自らの欲求を抑えられなかった。

友情とは何だろう。

デイヴ・シュルツは
天からの贈り物が多すぎたのだろうか。

主役三人が素晴らしい。

初めて見るシリアスなスティーヴ・カレル。
こんなに死んだ目ができる役者がいるだろうか。
コメディアンは演技が上手いとよく聞きます。
こんなにシリアスな彼をホントは見たくなかったけど
やっぱり彼は一流だなって。

ゴリラ兄弟…じゃない
テイタム&ラファロも見事。
ラファロは人のよさが滲み出てるね。
せーや

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