OASIS

観相師 かんそうしのOASISのレビュー・感想・評価

観相師 かんそうし(2013年製作の映画)
3.5
相手の顔を一目見ただけで全てを見通してしまう才能を持った「観相師」が、宮中の権力争いに巻き込まれて行くという話。

前半では観相の能力を活かして妻殺しの犯人を見つけたり、官史の選別係として働いたり、主人公が成り上がって行く様子が描かれて、後半からは彼と息子達が争いに翻弄される様子が描かれる。
主演のソン・ガンホもさることながら「逆賊の相」を持った謀反を企む大君を演じたイ・ジョンジェとの「顔面力」対決は見応えあり。
彼が強烈なインパクトを持って登場する瞬間に、それまでコメディタッチだった雰囲気がガラリと変わる。
「ここまで映画の印象が変わるか」とあのソン・ガンホですら霞む演技を見せて、それを機に全てのキャラクター達が前半とは別物のシリアスさを見せ始める。
俳優力とはこの事か、と見せつけられてしまいました。

顔だけでは無く、声や仕草など多種の分析により登りつめていく主人公だが、貧しい生活が少しだけよくなればいいと願う息子と官史になろうとする義理の弟との間で揺れ動き、結局はその二人共の未来を見通す事は出来なかったという皮肉な末路を辿る。
ガンホ兄貴の最大の見せ場であるラストは大袈裟ではあるが息子達2人の演技も合間って感動的でした。

ただ、ガンホ兄貴の演技が素晴らしいのはもちろんですが、二人の息子だけではなく自分自身の相についても悩む様子が欲しかった所。
鏡を見つめ、じっくりと未来を想像していく過程があったなら「波を見ていただけで風は見ていなかった」という台詞の重みがもっと増したように思えました。

黒子一つで印象が変わるのなら結局それは外面の相だけしか変化してないという事に少し疑問浮かびましたが、口元や目元に黒子がある人ってやっぱりセクシーに見えるよねという結局は薄〜い感想になりそうなので止めておきます。

@シネマート心斎橋
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