マヒロ

X-MEN:フューチャー&パストのマヒロのレビュー・感想・評価

X-MEN:フューチャー&パスト(2014年製作の映画)
4.0
(2024.43)
未来の世界で、対ミュータントマシーン“センチネル”の進化と暴走により絶滅の危機に瀕していたミュータント達。起死回生の一手として、キティの“過去に精神を飛ばす”という能力でセンチネルが造られるきっかけとなった1970年代のある事件を食い止めることになり、その負荷に耐えられる再生能力を持つウルヴァリンが過去に戻ることになる……というお話。

『X-MEN』シリーズは『ローガン』を除いてここから初見。
前作『ファースト・ジェネレーション』と旧三部作を繋ぐ作品となっており、新旧キャストが揃い踏みの総決算のような作品。キティが人の精神を他の時間軸に飛ばせるという変な設定が足されていたり、それに耐えられるのはウルヴァリンだけという理論も無理くりな感じで、正直時間旅行を成立させるためにかなり変なことをしている感は否めないが、そこに目を瞑れば全体的にはなかなか良かった。

『X-MEN』シリーズの弱点は、登場人物が多いが故に視点がとっ散らかりがちで話がぼやけてしまうところだと思っていて、それがようやく改善されたのが前作だったんだけど、今作もしっかりその流れを汲んでいる。話の核にはミスティークを据え、出ずっぱりな狂言回しとして皆がよく知るウルヴァリンを、そこにエリックとチャールズの愛憎入り混じる関係性や、ストームを始めとした旧シリーズの登場人物に加えてクイックシルバーのようなフレッシュなキャラの活躍など、満遍なく見どころがある。
センチネルとその開発者であるトラスク博士が敵対する相手ではあるが、打倒する相手という感じでも無く明確なヴィランがいない形になるものの、大きな目的はあくまで歴史改変にあり、無理に敵を作り出すのでは無くしっかり物語に軸足を置いているところが好印象。

やや強引ではあるものの、迷走しかけていたシリーズを前作と合わせて丸く収めることに成功した作品で、平和でありながらどこか寂しさも残るラストシークエンスの雰囲気といい、良い余韻の残る良作だった。正直ここで終わってても良かったのではという気もしなくもない……。
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