素性の知れぬ傑物が悪者を根こそぎ滅ぼすだけのマッチョな映画。序盤は重いが、エンジンがかかってからの省略ぶりが心地よい（指輪やハンマーといった小道具での説明、クロエ・グレース・モレッツの鮮やかな消し方）。シャープな画作りや散りばめられたオマージュも好ましいし、ロケのチョイスも抜群。何よりも静的なシーンでのアクションへの拘りが良い。ただ、肉弾戦の情報処理の甘さと野暮ったい眼の演出は玉に瑕。
多分敵役との死闘を期待するのはナンセンスな気がする。デンゼル・ワシントンのバックグラウンドを隠すことで、敵役たるマートン・ソーカスが追い詰められる過程を楽しむ形になっているのがミソ。
