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イコライザーのhilockのレビュー・感想・評価

イコライザー(2014年製作の映画)
4.0
強い男が悪者を駆逐するアメリカ恒例のアクションであるが、他のアクション映画と違うのは、話が進めどまったく主人公の背景がわからないところである。主人公の過去の交友関係が後半近くから少しずつ登場するも、結局主人公の背景はぼかして終わるという、アメリカ映画には稀な展開である。これはシチュエーションの甘さでもなく、脚本の失速でもない。
敵が何者なのか?説明のないまま話が展開する映画は、観ている者に不安を与える。そして、エンディングに悪者集団を駆逐して、ハッピーエンディングを迎える。この観客を満足させる展開は、アクションの方程式とも言える。しかし、敵もわからぬ、主人公でさえ何物なのかという拠り所のない気持ちを持たせながら話は進み、観客の不安を映画の最後まで牽引しているのは、やはり聖人=デンゼル・ワシントンのいい人度合、醸し出す雰囲気だからこそであろう。そのような巧みな旨い料理をしているのは、『トレーニング・デイ』でデンゼルと組んだアントワーン・フークアである。あの善良なデンゼルを悪役にまで貶めた監督が、善人であるだろうが、本当にそうなんだろうか?という観客に疑念を抱かせ、最後まで安心して見せるのは、役者と監督の絶妙なコンビネーションといえるいい例でもある。
昔からのアクション物にはよくある。ただハチャメチャに強い男が画面狭しと暴れるような映画であれば『96時間』や『ラストミッション』と何ら変わらない。しかし、謎の多い、腕っぷしの強い男というのは、映画を魅了する要因でもある。さらに、ガンガン銃を打つだけでなく身近にあるものを武器に変えて戦う様は、『冒険野郎マクガイバー』を彷彿もさせる。ちなみにこの元ネタはテレビでやっていた『シークレット・ハンター』である。私も若い頃アメテレにハマり隅々までエアチェックしていたが、この作品だけは視聴しなかった。というのも主人公が、白髪で歳をとっていたことが、魅力に繋がらなかったというのもある。しかし、映画の二番煎じとして登場したテレビという世界で培ったドラマのキャラクターが、映画に戻ってくるのはなんとも嬉しい限りである。モレッツ嬢はなかなかやりますなー
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