OASIS

イコライザーのOASISのレビュー・感想・評価

イコライザー(2014年製作の映画)
3.5
元CIAエージェントでありながら現在はホームセンターで働く男マッコールが、娼婦の少女テリーと出会った事で、彼女を脅かすロシアンマフィアとの戦いに身を投じて行くという話。

デンゼル・ワシントン×アントワーン・フークア監督という「トレーニング・デイ」コンビが再タッグを組んだ映画。
デンゼルの前に立つ=これすなわち死亡フラグという事で、そのフラグを見事に全て回収して行く仕事人の手並みは絶大な信頼と安心感を持って観れる。
そこにスローモーションを重ね、様になるショットをこれでもかとぶち込んでくる監督は「観客が観たい格好良いデンゼル」を心底分かってるという感じで好き。いちいち激シブです。

彼はCIAを引退した凄腕のエージェントで、均衡が保たれた平穏な毎日を慎ましやかに過ごしていた。
決まった時間に仕事をして、行きつけのダイナーで本を読み、同じ物を飲む。
そこで知り合った娼婦の少女との出会いによって崩れた日常を平準化(=イコライズ)する為立ち上がるという「タクシードライバー」の後半みたいな展開をきっかけにして話が動き出す。
話が流れにのるまでは退屈かなとは思ったが、どこか満足していなかった乾いた日常から非日常であるマフィアのアジトに乗り込んだ時の爆発力が高濃度で胸躍る。
眩しい笑顔から野獣のような鋭い眼光を見せ、周囲の武器になりそうなものを把握するその一瞬の表情の変化、やっぱり格好良いですな。

ただ、クロエちゃんが役作りの為に5kg以上増量したというワリに出番が少なかったのは残念でした。
入院してしまってからは置き去り状態になり、マッコールの目的もロシアンマフィアの殲滅にシフトして行き話の規模が拡大していくので、完全に蚊帳の外でした。
せっかくだらしない娼婦を体現する為にムチムチでダルンダルンな身体を作り上げたというのに・・・。
おっぱいはかなり寄せて上げてましたけどね。

面白いと思える要素として敵役の存在がありますが、その役を担うロシアンマフィアがどいつもこいつもゴリゴリのタトゥー塗れの奴らばっかりで、仲間の始末の仕方も「睾丸を喉にぶち込んで窒息させる」とかえげつないんだが、それが「彼らが良くする手口ね」とか言われてる辺りもっと残虐なんだろうかと背筋が寒々としました。
メキシコの売人とロシアンマフィア、日本のヤクザにだけは殺されたくないと天に願いましたよ。

そんな彼らでさえデンゼルのDIY技術には叶わないと思い知らさらるクライマックスのホームセンターでのバトル。
ゾンビ映画好きならホームセンターは武器の宝庫だという事は周知の事実な訳で、そこに何の考えも無しに突っ込んで行くのは馬鹿の極みで「元CIA+ホームセンター店員」という最強の組み合わせの餌食になる。
彼らも「ドーン・オブ・ザ・デッド」くらい観ておけばまともに応戦できたかもしれませんね・・・。

終始影が掛かりっ放しの暗い色調ゆえ、ホームセンターの場面なんて更に暗くなって見えにくいのでアクションが分かりずらかったのが難点。
しかも敵にもスキンヘッドの奴がいたりするし、二人が暗闇で取っ組み合って殴り合ったりするともうどっちがどっちか区別できないよと。
デブ店員がマッコールに受けたトレー二ングを生かす活躍ぶりはなかなかでしたが、暗さは難点でしかなかったです。

マッコールがどういう男なのかという正体は、あらすじを見て知ってしまっている分、中々明かされないのでそこがストレスになって長く感じる要因になったのだろうか。
「19秒」とか全然関係無いし。
奥さんとの過去も中途半端にフラッシュバックで入れるくらいなら匂わす程度でも良かったとは思う。
続編が作れそうな余力は多分にあるので、もし次があるならその時はクロエちゃんも参戦希望です。

@TOHOシネマズ梅田
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