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GODZILLA ゴジラのtakのレビュー・感想・評価

GODZILLA ゴジラ(2014年製作の映画)
3.4
 昔からリアルタイムで観ている世代か、「東宝チャンピオンまつり」世代か、平成ゴジラ世代かにかかわらず、ニッポン男子なら「ゴジラ」への思い入れはそれなりにあるはずだ。ローランド・エメリッヒ監督が撮った巨大イグアナにはがっかりさせられただけに、再びハリウッドが映画化することに、多くの人々と同じく不安の方が大きかった。ところが今回の映画化には本家東宝も製作総指揮に加わっており、日本人にも納得がいく仕上がりになっていた。また、ゴジラそのものへの脅威を感じさせ、オリジナルの第1作をイメージさせる日本の宣伝戦略もナイスだ。

 日本の原子力発電所でかつて起こった原因不明の事故。アメリカ人科学者ジョーの妻はその犠牲となった。ジョーはその後も事故の謎を追い続けていた。立ち入り禁止区域に入って逮捕されたことからジョーの息子で海兵隊員のフォードが日本へ。彼らはその地域が閉ざされた本当の理由である巨大な生物の存在を知る。放射能を吸収して覚醒したその生物は、日本から姿を消す。同じ頃、アメリカの核貯蔵施設で事件が起こり、別な巨大生物が現れる。対処の方法として核を用いることも検討されている中、二匹のランデブー地点に向かうもうひとつの巨大な影があった・・・。

 予備知識皆無で劇場に行ったせいで、ゴジラが敵対する生物が出てくるとは思わなかっただけに驚きの連続。しかも復活したゴジラは東宝作品での勇姿そのままに力強い雄叫びをあげる。いやはや、男子の血が騒ぐ。この映画はこうした事件が実際に起こったら人類はどんな行動がとれるのか、というシミュレーションをしているかのようだ。また出現シーンだけでなく怪獣が激突する場面でも、ところどころ人間目線のショットが挿入され、その巨大さと人間の想像を超えた存在であることが強調される。これは一種のパニックムービーでもある。3D版で観ると、手前にがれきや建物が映し出された奥行きある映像がそれをさらに増幅してくれる。巨大生物との攻防もあり、兵士たちの活躍もきちんと描かれて好感。それでも、怪獣出現のパニックをシミュレーションするという点においては平成「ガメラ」には及ばないけれど。

 ところで、アメリカで公開された「ゴジラ」の1作目はレイモンド・バー演ずる特派員が日本で怪獣に遭遇するという内容に改変されて公開された(「怪獣王ゴジラ」の名で日本公開されている)。50年代当時のことだから、日本におけるゴジラのイメージである"核の脅威"である部分はそぎ落とされている。だからアメリカ人にとってのゴジラとは、生態系の上位に君臨する"キング・オブ・モンスター"なのだ。今回の「ゴジラ」はその日米双方でもたれるイメージがうまくミックスされている。特に渡辺謙扮する芹沢博士が広島出身であることが盛り込まれ、核の使用に踏み切ろうとするアメリカを止めようとする場面は強い印象を残してくれる。
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