湯山敬

ルパン三世の湯山敬のネタバレレビュー・内容・結末

ルパン三世(2014年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

一つの映画としては良くできてるし、日本映画とは思えないくらい派手だから、ルパンを知らない外国の人たちが観ればそれなりの評価をしてくれそう………と思ったけど海外のサイト見る限りそんなこともなかった。


まずストーリーだけど、不二子とマイケルの兄妹設定いる?
不二子がマイケルに肩入れする理由は別に後からどうにでもなるし(というか実際そうなったし)、わざわざ兄妹設定を持ち出す意味が分からない。おそらく最後のルパンを庇う役割のために作り出されたんだろうけど、取引でプラムックに真実を告げられた時点でそのオチは読めるから、別に無くても良かった。
だったら味方側の登場キャラをドーソンだけにして、ドーソンを殺したプラムックと対決っていうシンプルな構造の方が良い。そうすれば不二子をいつもみたいに最初だけプラムックと組ませて、ルパンを裏切るシチュエーションもできたし、何だったらドーソンの孫でも出してアニメスペシャルみたいにルパンガールにすれば、いつものルパン作品が完成して、原作ファンにも見やすくなる。変に複雑な人間関係を入れて物語をおかしくするよりは原作(アニメ)スタイルに沿った方が良かった。


登場人物の半分以上は外国人だけど、外国人が喋るときは声優による日本語のアフレコをしている。外国語喋らせて字幕を表示するっていう手もあるけど、放映する地域ごとに吹き替えするって考えるなら、わざわざ分けるよりアフレコでまとめた方が良いし、ごく一部で外国語を喋るとかならともかく、物語の半分が外国語で半分が日本語だと聞きづらくてしょうがないからこの手法には大賛成。


他の実写化作品の例に漏れず、この作品も実力のある俳優さんたちが無理にキャラ寄せしたせいで凄い違和感がある。
その中でもルパンの小栗旬と銭形の浅野忠信は違和感ありまくり。
小栗旬はルパンの伸ばす喋り方を真似して演技力が半減してるし、浅野忠信は前述のアフレコのせいもあるだろうけど銭形の低い声を真似して演技以前に何言ってるか分からなくなってる。

違和感を感じた例として上の二人を挙げたけど、だからといって他の三人が似てたわけじゃない。ただその中でも不二子役の黒木メイサは良かった。不二子っぽさは全くなかったけど、黒木メイサ独特の妖艶さは出してたから次元の玉山鉄二やゴエモンの綾野剛みたいに変にコスプレっぽくなるよりはこっちの方が良い。

北村龍平が監督だからアクションシーンは頑張ってるけど、原作ほど派手かと言われればそうでもない。
原作で一番リアルじゃないのはゴエモンの斬鉄剣だけど、この作品だと車をひっくり返すことはしてもアニメみたいに半分にするシーンはない。
リアリティを追及するか、原作に準じるかは客の価値観によるけど、個人的にはたとえB級感が増しても派手にぶった切ってくれた方が良かった。


キャラクターの部分で違和感を感じるのは、実写化だとよくあることだから別に良いけど、たとえこれが「ルパン三世」じゃなかったとしても、上で言った兄妹設定が必要だったとは思えないし、映像が悪くなかっただけに、もう少しストーリーを細かく設定して欲しかった。
湯山敬

湯山敬