ガリガリ亭カリカリ

オール・ユー・ニード・イズ・キルのガリガリ亭カリカリのレビュー・感想・評価

4.1
ありがちなタイムループ設定を、省略に次ぐ省略でコメディに昇華していてうまい。トム・クルーズが顔面蒼白で戦場から逃走したり、オタオタワナワナしまくっていて何の役にも立たない前半はずっと笑って観れた。トム自身が自分のパブリックイメージを逆手に取ってキャラクター化できていて、やはり信頼できる。

特に、死んだらやり直しされる世界において唯一トム死後の風景が描写されるシーン、トムがアホみたいな自殺(訓練中に「クソ食らえ!」とわざと叫んで腕立て伏せをさせられている最中に走ってきた車に向かってローリング滑り込み、ぐちゃっと潰れて死ぬ)を見たビル・パクストンの、こいつは世紀末級のアホなのか……という表情が世界一面白い。劇場でもみんな爆笑してた。

レーティングを意識したジェネリック・ノルマンディ上陸作戦も悪趣味で最高。
戦争に行かねえ安全圏の人間が戦場に投下される皮肉。

タイムループ設定が無くなってからの後半が、サスペンスにも欠けてあまりにも勿体ない印象は受けたけれど、ラストの切り返し、無限の可能性を感じさせるトム・クルーズのウルトラスマイルが最高。

のけ反り美人ことエミリー・ブラントの、のけ反りフォトジェニックさ。