イチロヲ

ラブレターのイチロヲのレビュー・感想・評価

ラブレター(1981年製作の映画)
4.0
尊崇する詩人(中村嘉葎雄)と三十歳差の愛人関係を結んだ女性(関根恵子)が、肉欲を満たすための遠距離恋愛を続けていく。当時のスキャンダル女優・関根恵子を主役に抜擢している、日活ロマンポルノ。江森陽弘・著「金子光晴のラブレター」を原作に取っている。幻燈社共同製作。

詩人・金子光晴とその恋人・大川内令子による実話ベースの物語。「男が帰ってくるのをひたすら待つ→帰ってきたらセックスする」を反復するだけの生き方しかできなくなった、哀れな女性の幸福論が痛切に語られていく。

身寄りのない主人公を後ろ盾する隣人に加賀まりこ、その元夫に仲谷昇。このふたりは能動的にセックスすることで復縁を試みるのだけど、肉体はくっついていても心が離れているため、結局は失敗する。そのくだりが面白くもあり、切なくもあり。

ポエトリー・リーディング調のセリフ演技が赤面レベルだが、ポエム好きのカップルを客観的に人間観察しているような雰囲気を楽しむことが可能。なお、主演の関根恵子は、成人映画の第一人者・高橋伴明監督と、1982年に結婚している。
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