似太郎

ラブホテルの似太郎のレビュー・感想・評価

ラブホテル(1985年製作の映画)
4.2
相米慎二による80年代日活ロマンポルノ。脚本を書いた石井隆の臭いがプンプンする。都会に生きる廃れた女と男の心模様と愛憎。いやー何ともアダルティ!💋

やはり、この脚本家による「名美」シリーズにハズレはないね。劇画版と映画版を双方、観比べてみるのも良いでしょう。

全体的にこの監督の持ち味(或いはクセ)でもある長回し映像が然程発揮されておらず、同時代の根岸吉太郎とか森田芳光と大して変わらないごくごくフツーの映画のように思える。

だが…そこが結構お気に入りだったりする。相米慎二も技巧に走らず、こういう職人気質の映画を沢山撮っているからぼくは素直に「良かった」と思える。ラストシーンの桜の花びらが舞う空き地の場面で、少し切ない感情を呼び起こされた。

『翔んだカップル』や『雪の断章・情熱』はあまりにも酷いと思ったが、本作の手際の良さは認めざるを得ない。極めて詩的で美しい日活ロマンポルノの佳作。
似太郎

似太郎