スローモーション男

ラブホテルのスローモーション男のレビュー・感想・評価

ラブホテル(1985年製作の映画)
5.0
 大傑作…。

日活ロマンポルノでも1.2争うぐらい好きになった。
『雪の断章』は酷すぎたのに、これはとんでもないぐらいの傑作です。

 妻をヤクザに寝取られた村木は、自暴自棄になり自殺を決意。その前にラブホテルでデリヘル嬢の名美をいたぶることに。
 2年後、二人は再開する…。

 もうすべてが大好き
特に二人が再開するシーン。タクシーから山口百恵の『夜へ』が流れてきて名美が乗車する。
そのあとに、波止場でのやり取り。名美が浮気相手と性行為に励む長回しのシーン。その妻が会社に押し掛けてくるシーン。
そして、名美が浮気相手に絶縁され電話を切られてもなお、愚痴を吐きまくるシーン。そこでまた『夜へ』が…。

石井隆の『天使のはらわた』シリーズからの村木と名美の決して結ばれない愛の物語。もう愛を忘れ人生に絶望した男と女は一瞬だけでも絶頂により、幸福を味わう。
そこへ相米の長回し。すべてが最高にキマっている。
寺田農と速水典子も本当のに適役で、妖艶でありながら、人間の弱い部分を完璧に見せてくれる。

そしてあのラストシーン。長い階段と桜吹雪と子供たち。幸せなのか不幸なのか…。それは分からない。ただ、なにか凄い映画を観てしまった気分…。

今年の旧作でもベスト3に入るかもしれません。