昼行灯

ラブホテルの昼行灯のレビュー・感想・評価

ラブホテル(1985年製作の映画)
3.9
ラストが嘘みたいに美しくて圧巻…
桜吹雪に子供たちとこれまでの物語と全く関係ないモチーフに名美が埋もれてゆく。あまりにも嘘すぎて、その演出によって名美がどうなるのか全く分からない感じがいい。すれ違っただけだけど、一瞬にしてなんとなくお互いが関係しているということに気づいた女の人の未来も描ききらないことでよりドラマチックになってる。女同士はいつも階段で出会ってる。これ、相米慎二が『女が階段を上る時』をベストムービーにしてることと関係ありそう

アイドル映画では跳ねるようなアイドルのはつらつさをきわだててた長回しがロマンポルノでは感情の迸りや不安定さを表現していた。特に波止場の長回しは足元と2人の関係性の覚束なさの重複がよく伝わってきたし、名美が電話に1人語りかけるシーンでははじめて心情を真っ直ぐに吐露する名美の生きづらさが表れていた。

とはいえ、ストーリー的には、主人公の男が逃げまくっていてなんかなあと。履歴書とか証拠写真を取り返したのも、名美と愛を築くことに怯えて、名美との関係性を精算するためにした行為のように思えた。
昼行灯

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