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チョコレートドーナツのyumaのネタバレレビュー・内容・結末

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ルディの「簡単に行かないからって放り出せっていうの。好きであの母親を選んだんじゃないし、他の子と違うのだって、望んだわけじゃないのよ。あの子がどうしてこれ以上苦しまなきゃいけないの?何の罪もないのに。違う?」というセリフが頭から離れません。

僕はセクシャルマイノリティの方についての講義を受けたことがあります。そのときの先生は、身体は女性で、心は男性というトランスジェンダーの方でした。その先生の話を少しさせてください。こんな内容でした。

先生はセクシャルマイノリティとして今まで生きてきました。子供の頃からスカートやピンク色のランドセルが大嫌いで、サッカーや男の子が着るような服が大好きでした。そんな自分を良く思わない人もたくさんいました。そんな中で自分の性について認識したのは高校生のときでした。凄く悩み、心の中には常に葛藤がありました。ある日、信頼していた友達に、先生がセクシャルマイノリティであることを告白しました。そしたら、その友達が発した言葉は、「なにそれ、私のこと好きにならんでや。」という冷たい言葉だったそうです。先生はすごくショックを受けて、学校にも行けない日々が続いたそうです。今では、そんな辛い経験をセクシャルマイノリティの子たちにさせたくないという思いで、今はLGBTの理解を深める活動をされています。

もう一つ、お話されていたのは、マイノリティ(少数派)という一面はみんなが持っていることなのだとお話されていました。

例えば、たけのこの里と、きのこの山のどちらが好きですか?という些細な質問でも、多数派、少数派は存在します。他にもライオンと鷹のどちらが好きですか?など沢山の質問を講義を受けている方たち、20名にされていました。質問を7.8回繰り返したあと、最後に先生が言われたのは、「質問全部に多数派側だった人はいますか?」すると、3人が手を挙げました。そしたら、先生は「その3人も今、少数派になりました。」と言われ、僕はハッとしました。

人ならば必ず少数派の一面を持っているということを体験しました。それが性だったり、たけのこの里だったりするだけで、みんな同じ人間でただそこには、その人の個性があるだけ。

そして、冒頭のルディのセリフです。みんな同じはずで、マルコやルディ、ポール、先生の個性があるだけなのに、彼らは他の人が気にしなくていいようなことまで気にしないといけないし、余計な心配をしていかないといけない。これはとても残酷なことだと思います。でも、これは彼らが変わったからといってどうにかなる問題じゃないです。

この問題の解決策は、地球上にいる全ての人がセクシャルマイノリティに関わらず、他人を理解し、偏見を持たないということだと思います。すぐには無理かもしれないけど、このレビューをここまで読んでくださったあなただけでも、意識を変えてくだされば、ちょっとずつ、ちょっとずつこの世にいる全ての人が幸せに暮らせる世の中を築いていけると僕は信じています。

"もうすぐ 今日にでも
私は解き放たれる
私の光がやってくるのが見える
西から東へ輝きながら
約束する 信じてほしい
愛する人よ
私たちは必ず解き放たれる"
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