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チョコレートドーナツのchishiruのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
3.8
テーマの社会性や重たさが目立つけれど、一方でとても、よくできた(言ってみればわかりやすい)映画だなと。

主人公たち家族の間で交わされる愛情がどこまでも親密で暖かいのに対して、それに差し向けられる差別や偏見は酷く冷たいという、シンプルな対立構造で描かれる。当時の(今もか?)現実から目を逸らさず、それに即した展開を選ぶ一方で、その絶望を乗り越え、希望を獲得する方法を示すことも忘れない。そしてラスト、これは色んな意見があると思うけれど、個人的には「きっちりオチをつけてきたな」と思いました。

すなわち、これがリアリズムなのかと言われると、実際はこんなものではないのかもしれないけれど。ただ、エンタメとして「よくできた」作品ほど発信力を持ち得るのも確かなはずなので、やはりこれはこれ、素直に心揺さぶられ、内省の機会にするのが正解なのかな、と思います。
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