ひれんじゃく

チョコレートドーナツのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
5.0
ネタバレしかないぞ!





















 汚い言葉で申し訳ないけど、クソ。判事も裁判官もみんなクソ。お前たちが殺したんだぞ。お前たちの凝り固まった偏見が1人の子供を殺したんだぞ。マルコはハッピーエンドが好きなんだ。なのにバッドエンドになっちゃったのはクソみたいな社会のせいで、それを作り上げる私たちマジョリティのせい。本当にひどい。おそらくマジョリティに属するであろう私が怒ってもなんか偽善っぽくなってしまうのがまた嫌。

 今のこの世の中に偏見がなかったとしたら、ただの胸糞悪い話で終わってしまったのかなあと考えてしまい、この思考回路自体に嫌気がさした。仮に異性愛者の夫婦が障害のある子供を引き取ろうとする話だったらどうなんだろう、と想像してみて胸糞悪くなった。これはどの同性愛の映画にも言えるが。異性愛がまだまだ規範的なこの世の中では、差別と戦う同性愛者の物語はただのラブストーリーとはまた違った「きらめき」を放ってしまうようにどうも思える。これを(アロマンティックの可能性がほんの少しだけあるものの)マジョリティの私が言っていいのか、という気持ちもあるけれど、今現在セクシャリティへの差別が一切なかったとしたら、これもまた単なる「救いのない物語」としてある意味片づけられてしまった可能性があるのでは?と考えてしまう。障害のある人に対する偏見、セクシャリティに関する偏見、それらがまだ根絶されずに息づいているから、単なる胸糞映画として処理されない部分があるのでは、と私は思ってしまう。

 これは自分への戒めでもあるけど、なんで自分達と違うというそれだけで人は偏見を持ってしまうんだろうね。なぜその偏見が法になったり正当な暴力として顕現してしまうんだろうね。本当になんで。

 そして作中に描写があったら申し訳ないけど、字幕でルディの言葉遣いを女性的にした意味を図りかねている。仕事で女装してたのであって、女装が好きな(女性的な自分を自分だと認識している)わけではないと思ったので。どうなんだろう。
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