MikiMickle

チョコレートドーナツのMikiMickleのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.2
舞台は1979年カリフォルニア。

歌手を目指しながらも女装して口パクのショーで働くゲイのルディ。

正義への熱い情熱をもちつつもゲイであることを世間体では隠し、ルディを愛するようになる弁護士ポール。

麻薬中毒の母親に育児放棄され、母親の逮捕によって一人取り残されたダウン症のマルコ。

そんな3人の共同生活は、施設から抜け出して家を求めてさ迷うマルコを、アパートの隣人であったルディが保護するところから始まる。

マルコを引き取り、本当の家族のように愛に溢れた生活をおくる3人。本来の自分たちを取り戻した3人。
しかし、その生活は長くは続かなかった…
マルコがまた施設へと連れ戻されてしまうのだ。二人が同性愛者であるが故に………
そして、裁判が始まるのだが………


アメリカの中でもリベラルなカリフォルニアでも、当時はまだ同性愛に対しての偏見は厳しくかった。そのなかでマルコを奪われた2人が、差別と偏見と戦い、マルコへの愛その一心で法と戦う物語。

二人の無心の愛。マルコの事をひたすら想う姿に心を打たれる。

そして、正義とはなんなのか、法とはなんなのか、考えさせられる。


ルディ役のアラン・カミングの、ポールやルディに対する笑顔が本当に優しくて… 作中で歌う曲や歌声も素晴らしく、ストーリーとマッチしていて心に響く。

そして、マルコ役のアイザック・レイヴァ君がいとおしい。
チョコレートドーナツが大好きで、ブロンドのお人形が好きで、ルディの作ったお話が好きなマルコ。なにより二人の事が大好きなマルコ。
彼がくったくのない笑顔を見せてくれるだけで、私も微笑んでしまう。

この二人につられて何度ほほえんだ事か。


最後、号泣してしまいました。また。
これを書きながらも泣いてしまいます。
ラストでルディが歌う歌も素晴らしい。


この話、実際に脚本家のジョージ・アーサー・ブルームが、同じアパートに住む、障害を持ち母親に育児放棄された子供と家族のように暮らすゲイの男性からインスパイアされてシナリオを書いたそうです。


障害者への偏見、同性 愛への差別。この話は1970~80年台にかけての話だけど、ではそれから30年たった今でもあまり変わっていないように思えてしまう。そんな事も考える。

でも、一番想うのは、マルコの笑顔。
MikiMickle

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