ホシピロリンティウス

チョコレートドーナツのホシピロリンティウスのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
5.0
劇中、LGBTQや障害者などの社会的弱者に対する風当たりが強くて、何度も怒りや悲しみで涙する場面が多くありました。
福祉を初めとする社会体系が弱者救済を目的としているなら、どうしてその社会が1人の男の子を殺してしまったのかとやり切れなくなりました。

先生の法廷での言葉
「私たち人間は性的な生き物です。
児童の両親がどう性を謳歌してようと興味はありません。」
1970年代、同性愛は病気だと考えられていた当時、こう発言した先生はスゴいなと。当然、自らも冷ややかな目で見られる覚悟を持っていたと思いますが、とても聡明で教育者として目指すべき姿だと思いました。

最後にこの言葉
「1人の人生の話だぞ。あんたらが気に留めない人生だ。」
これはルディの言葉ですが、作品の中で作者が1番伝えたかった言葉なのかなと捉えました。
「法律や制度の網の目からもれてしまった障害児の人生を、何が一番彼にとって最善策なのか、本質を考えようとせずにいるのは良くない。」「いつだって一人の人間の人生と向き合い正義を語れ」と言われているような気がしてなりません。

映画公開当時と比べると、日本でも社会的マイノリティーに対する認知は進んでいるように思いますが、今もなお続く差別や偏見。
暖かい想いを持った人達が、冷たい目を向けられずに、ハッピーエンドを迎えられるような社会になってほしいです。