ゑぎ

見えざる敵のゑぎのレビュー・感想・評価

見えざる敵(1912年製作の映画)
3.5
 これも殆どフルショットばかりで構成されているが、若干寄り気味のカットが出現し始める。やはり作者、グリフィスの被写体に対する感情なのだ。ギッシュ姉妹の「あぶなかしさ」にカメラも呼応するよう。それは、屋内の壁を挟んだ2つの部屋のカメラの行き来の大胆さにも現れる。2つの部屋を、まるで水平横移動したような構図でクロスカッティングされる部分と、壁の穴から突っ込まれた拳銃を介して2つの部屋を結んで見せる部分と。しかしこの拳銃が結構見ていて怖いし、怯えるギッシュ姉妹のリアクションが怖さを増幅させてたまらないのだ。

 また、本作は電話の映画でもある。悪いメイドが酒場の相棒(ハリー・ケリーがやっている!)を呼ぶのも電話でだし、姉妹の部屋と兄のオフィスを繋ぐのも電話。これらの空間の見せ方も非常に面白い。さらに、姉妹の家の側のトウモロコシ畑と、畑を突っ切った先にある道の空間造型も引きの画が無い分、想像力が刺激される。グリフィスの空間の切り取り方は実に大胆で面白い。
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