A8

フルートベール駅でのA8のレビュー・感想・評価

フルートベール駅で(2013年製作の映画)
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2009年元旦、めでたい日に悲劇が起こった。警察官に罪なき黒人男性が殺されたのである。この事件は紛れもなく殺人であり、人種が絡んでいることはこの作品からもよくわかる。

この作品は亡くなった“オスカー”の最後の1日を描いており、淡々とリアルに物語は進んでいく。愛する妻がいて、愛しい娘そしていままでの仕事から足を洗って家族のために更生し頑張ろうと生きていた。明るく根がとても優しい人なんだなというのがよく伝わった。例えば瀕死状態の犬を涙流すように助けを求めたり、母を気遣ったり、友達を庇ったり、、、。まだ22歳、これから明るい未来が待っていた青年の人生を“警察による暴挙、差別意識”によって奪われたのである。

彼が亡くなるまでの瞬間をリアルに表されていた、丸腰の青年に対して目を防ぎたくなるような暴挙、理不尽さ、、息が苦しくなり、やめて!と叫びそうになるほどの恐ろしさ。彼はその中で死んでいったと思うと無念ならない。

1時間半を切る短さにこの作品の重さ、リアルさ、訴えかける思い、そして彼の生きた証、それを驚くほど上手くまとめられていた。1日の流れ×彼の性格を表したのが素晴らしかった。

この映画があることで彼の生きた証は残り続けるだろう。
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