ダンクシー

フルートベール駅でのダンクシーのレビュー・感想・評価

フルートベール駅で(2013年製作の映画)
3.5
「電車は禁煙だ」
「警官なの?」
「休日だから許可する」

嬉々として迎える新年に起きてしまった、22歳の黒人オスカーグラントの人生最後の日を描いた実話。ホントに許せない。。撃った警官は懲役2年で11ヶ月で出所?は?意味分からんすぎる。ストーリーを通じて、銃社会の問題点や差別問題が浮かび上がる。

「あいつはいつも遅刻する」
「遅刻するのはマズいよな、しっかりしないと。」

新年を祝う鉄砲の音。不吉な匂い。恐ろしくも素晴らしい演出だった。オスカーは、決してクズではない。ムショには入ったけど、人助けしたり働こうと頑張ってるし、更生しようとしていた若者だ。そんな彼の日常、小さな出来事が積み重なっていく。これらの事件前までの出来事は一見、大した内容ではないかもしれない。しかしそのリアリティが、生活感が、後半の"事件"に効いてくる。なんてことない日常が突如崩壊する。友達が、家族が、理不尽な暴力によって命を落としてしまう。それを突然目の当たりにする。鑑賞側の感情の起伏も凄まじくなる。そして何と言っても、暴力に焦点を当てていなかったことが凄い。所謂、オスカーグラントという人間に焦点を当てていた。ありのままの人間像を描くので、なぜ彼が死ななければいけなかったのかと必然的に考えてしまう。故に、映画の作りとしても、後世に残す伝記という意味でも、非常に優れた作品だ。

個人的に、皆で祈るシーンを観るのが辛すぎた。。最近では、ジョージ・フロイド氏が白人警察官によって殺されてBLM運動が起きたのも記憶に新しい。こういう悲劇が起きないことを、ただただ祈るばかり…。
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