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フルートベール駅でのtaskのレビュー・感想・評価

フルートベール駅で(2013年製作の映画)
4.6
2009年の1月1日にサンフランシスコのフルートベール駅で、22歳の黒人青年オスカー・グラントが、鉄道警察官に銃で撃たれ死亡した事件が基になった映画。

冒頭から、撃たれた直後の構内の様子が移されます。
このシーンは乗客が撮った実際の映像なんですね。衝撃がハンパないです。映像はきたなく,はっきりとはしていないのですが、明らかに黒人男性が倒れている姿は見えますし、泣き叫ぶ声が聞こえます。

そこから物語はスタートし、事件が起こる一日前からその日一日の彼の行動をじっくり、ていねいにみせていきます。彼のバックボーン、現在の家庭環境、社会におかれている状況などが説明台詞ほとんど無しに実にスムーズかつ感情移入しやすく描かれていました。

この映画の監督ライアン・クーグラーは、若干27歳で長編映画初監督作らしいです。とんでもない人がまたでてきました。

この事件が起きた当初、黒人差別による殺人事件だというイメージが強かったようですが、この映画はそういう描き方はされていませんでした。

貧しい環境で生まれ、犯罪に手を染めることにしか生きる道を見いだせなかった男が奥さんのため、娘のため、母のためにまっとうに生きることを誓った。

その前向きに生きようとした青年の命が無惨に奪われた事件なんですね。
(これはパンフレットの受け売りですww。)

最後のフルートベール駅のシーンは号泣です。悲しすぎました。
劇場内は10人ほどしか入っていなかったのですが、あちこちからすすり泣く声が.....ほぼ全員泣いていたんじゃないでしょうか。

警察官のあまりにも横暴で非道な行動には虫酸が走りました。

もっと許せないのはこの発砲した警察官イングラムは殺人容疑で逮捕されたのですが、持っていた銃がティーザーガン(銃型のスタンガン)と勘違いしていたという理由で懲役2年、実際は11ヶ月で出所したそうです。アメリカの裁判はどうなっているんでしょうか。人殺しておいて一年経たずに出所って。遺族にとってはあまりにも許せない追い打ちですよね。

とにかく、衝撃度はすごいですよ。正直同じ実話を基にしてアカデミー賞作品賞をとった『それでも夜は明ける』よりも断然上だと思いました。

余談ですが、この主人公 オスカーを演じているのはマイケル・B・ジョーダン。この人どっかでみたことあるなぁと思ったら、クロニクルの生徒会長だったんですね。どこか哀しげですばらしい顔つきです。
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