まぴお

フルートベール駅でのまぴおのレビュー・感想・評価

フルートベール駅で(2013年製作の映画)
3.3
【本当にフェアな視点】

物語は一人の青年が命を落とすまで一日を描いている。
プロローグから実際に起きた映像を見せながらこれから
起こるであろう死の予感を描写している。
テーマとしては根強い人種差別に巻き込まれてしまった青年の悲劇といったところか。


しかしこの手の作品は必ずバイアスがかかってしまう。
だから一方的視点で見てしまうことは絶手に避けなくてはいけない。

そもそも根強い人種差別だというけどもこれはそれだけの問題なのか?
という疑問があった。


これがもし白人であっても同じことが起こっててもおかしくないのかなと見ていて感じたからだ。そもそも主人公として描かれる青年は浮気はするし前科持ちで1年前にも刑務所に入っている。そして売人として生活を続けており遅刻癖などで働き先を首になるなど褒められた生活をしているとは言い難い。

そのような状況を知りながら私たちは同じ対応を取れると言い切れるのだろうか?


得てして人というものは一度そういったバイアスにかかってしまうとそれを正当化するために些細なことでも過大的に評価してしまう。


例えば中国人は短気で民度が低いというバイアスを掛けた場合に中国人が何かの拍子に感情を表にだし道にツバを吐いたとする。その背景には普段あまり怒らない人がたまたま虫の居所がわかるかったのかもしれない。しかしそのバイアスをかけた人から見るとやはり中国人は短気で民度が低いと認識するのだ。

ではそのバイアスはしてはいけないのだろうか?

もちろんそんなことはなく
バイアスは自分の命を守る上で必要なバイアスであることも認識する必要がある。

例えばこの事件が起こったフルートベール駅は地元では治安が悪いことで有名でいつ事件が起こってもおかしくない地域であった。

バイアスをかけるのは良くないから身の危険を感じずにこの地域を
歩くとあっというまに犯罪に巻き込まれてしまう。これは武装している警官であっても同じことであるし人間は学習することで身の危険を守る手段ということで必ず必要な部分なのである。

そういった意味でこの映画は黒人の視点に偏りすぎているのである。
僕は警察の視点の物語も見てみたかった。そうすることで本当に差別感なくフェアという物語として観れるのではないだろうか?

578本目
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