みかんぼうや

プリズナーズのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
3.7
鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による少女失踪サスペンス。サンクスギビングデーのパーティー中に2家族の少女2人が突如いなくなるとこrから事件は始まる。ヴィルヌーヴのサスペンスとなると、あの「灼熱の魂」の想像もつかなかった衝撃の展開をついつい期待してしまいますが、思った以上に王道の伏線、ミスリード、展開と結末の極めてストレートで分かりやすいサスペンスでした。

が、ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールという組み合わせ、サスペンスとして分かりやすくもその先の展開にグイグイ興味を引きつける丁寧な作りと演出により、中盤もあまり中だるみせず、150分強の作品ですが飽きることなく長さも感じませんでした。

王道でありつつも、あの締めはさすがヴィルヌーヴ監督。いかなる理由とは言え、神に背いた者は罰せられるということか。サンクスギビングに事件が起こる設定から始まり、途中途中で、聖書の引用、宗教的要素が散りばめられていることから、キリスト教に深い見識があると、きっと本作で描かれる皮肉めいたメッセージの深さが何倍も増すのだろうな、と思いました。ヴィルヌーヴ監督、宗教をテーマとした作品が多いですよね。

その皮肉めいたメッセージを象徴するヒュー・ジャックマン演じる娘を誘拐された父親の暴走ぶり。ヒュー・ジャックマンはプライベートも含め、“善玉”としての印象が強いので、これだけ罵詈雑言&暴力的な彼の演技はなかなか見物。対するジェイク・ギレンホールは、クセのあるキャラクターを演じることが多い印象ですが、本作ではむしろ正統派な演技。

ヴィルヌーヴ作品ゆえに、もうちょっとパンチある内容を期待してしまいましたが(いや、これも十分パンチはあるのですが、期待が大きすぎた?)、安心のヴィルヌーヴクオリティの良質サスペンスでした。
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