ねーね

プリズナーズのねーねのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.5
ミステリ・サスペンスとしては一級品。
ドゥニ監督が好きな理由がここに詰まっていて、まさにエンターテイメントと芸術的な画作りの両立がなされている。
一見シンプルで無駄がないのに重厚なストーリーが折り重なっていて、長尺の中でも観客をあっと驚かせるような展開を披露してくれる。
伏線の見せ方と回収の仕方は、とにかくテンポとメリハリが素晴らしく、160分の間のめり込んで観てしまった。

この薄暗いアメリカの片田舎で起こる児童失踪事件は、きっと本作だけの特殊な出来事ではなく、今でも実際に多く起こっているのではないだろうか。
今までの歴史の中で被害にあった親たち、子供たちの悔しさや苦しさそのものなのか、作品全体にも救いのない悲壮感が漂っている。

色々と考察を読んだところ、かなり宗教色が強いことがわかったのだが、私自身無信教のため、心の底から彼らの抱える心の闇を理解することはできていないと思う。
犯人がなぜ事件を起こし続けたのか?神への反抗心とはなんなのか?正直全然わからないし、わかろうとも思えないが。
ただ、親という生き物は、道徳を捨ててでも子を守ろうと必死になるということだけは事実だと思う。
ヒュー・ジャックマン演じる父親のやったことは決して正義ではないが、見て見ぬふりをした友人夫婦も含め、誰も責めることはできないだろう。
子の救済に囚われた彼らも、過去のトラウマに囚われて精神を病んでしまったアレックスやボブ・テイラーも、全員が囚われ人で、私たち自身もきっと何かに常に囚われているはず。
そういうとき、宗教は何かの救いになってくれるのだろうか?

そして私は、やっぱりジェイク・ギレンホールの演技がとても好き。
妙な中毒性があり、とにかく引き込まれる。
本作の成功は、ジェイクとヒューの熱演があったからこそだろう。
ねーね

ねーね