rensaurus

ジュラシック・ワールドのrensaurusのレビュー・感想・評価

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)
4.5
言わずと知れたジュラシックワールドシリーズ三部作の一作目。パークシリーズを愛しながらリアルタイムで見られなかった世代として、これほど公開を待ち望んだ映画はなかった。

ワールドシリーズが完結した今、振り返ってみるとこの一作目には続編に無い特有のワクワク感がある。本当に作っちゃったテーマパークという舞台設定もさることながら、CG技術が発達した当時で、従来の恐竜では観客を満足させられないと改造恐竜まで出してしまう、という本編と映画制作の構造上の一致も面白さを増している。テクノロジーがいくら発達しようが、恐竜という存在が全てを掻っ攫っていく感じも快い。

演出面においてもパークシリーズをリスペクトしたような、ブラキオサウルスを憧れの眼差しで見上げるシーンや、怪我した恐竜を囲いながら看取るシーンなど、恐竜という生物への感動や畏敬の念を感じられる場面が用意されており、今作の素晴らしさに寄与している。また、恐怖の演出もかなり良く、ラプトルとの対峙シーンや、インドミナスレックスの脱走シーン、プテラノドンが来場客を襲うシーン、モササウルスの捕食シーンは迫力満天だ。出血がある程度見られるのも良い。

登場人物の俳優、数、死亡する人数、役割なども丁度良い。元軍人でラプトルのブリーダーのオーウェンを演じたクリス・プラットはそのアメリカンな風貌や冗談を挟みながらも信念があるイイ男感が素晴らしい。バイクでラプトルと並走するシーンでは誰もが黄色い歓声を上げたことだろう。パーク運営責任者のクレアを演じたブライス・ダラス・ハワードも赤毛のボブヘアーに白い衣服で端正な顔立ち、仕事ができるイイ女感に加え、ちょこちょこお茶目さがあり、誰もが見惚れたことだろう。T-REXを発煙筒で誘導するシーンも最高だった。この主要キャスト二人は恐竜に匹敵する存在感だった。

ヘリで墜落したサイモン、プテラノドンに弄ばれモササウルスに丸呑みされたザラ、ラプトルに食べられたホスキンス、その他の職員や来場者や警備隊もかなり無惨に恐竜に殺されており、パニック感や、弱肉強食の世界観がワクワクする。また、恐竜マニアの子供と思春期真っ只中の中坊が登場するのも良い。子供ならではの高揚感や、スカした男子でも抑えられない興奮が伝わってくるし、何より絵面がフレッシュだ。

ワールドシリーズの新しさは、ラプトルのブルーという固有個体との絆にフィーチャーしているところだ。オーウェンとブルーのお互いをリスペクトしながら関わり合う関係は、理想的であると同時に奇跡的だ。三作通してこの関係が良い味を出している。

総じて、ワールドシリーズを作ってくれてありがとう。撮ってくれてありがとう、トレボロウ。パーク一作目と被る設定ではあるが、何だかんだで大好きな映画。
rensaurus

rensaurus