ろく

徳川セックス禁止令 色情大名のろくのレビュー・感想・評価

4.7
[間違ったレビュー]

「あらゆる生命の根源たる性を支配し管理・検閲することは何人にも許されない」

そう、ここにあるのは性をモチーフに近代という権力構造を解き明かそうするM・フーコー的試みである。フーコーが性の根源に宗教を観だしたのは慧眼であった。そしてそれはこの作品でも見て取れる。

とくに宗教を禁ずるものとして徳川を、さらには宗教を容認しようとする白人の側室の対比は我々に「性」とは、「愛」とは、「生きる」とはということを問いかけてやまないだろう。実際この作品は遠藤周作の「沈黙」と同様の「宗教はなぜあるのか」を問う。それは女性の裸体に幻灯機でイエスの偶像を描く権力側の行為は「権力に苛まれるものでも生きなければならない」というテーゼがあるのだ。

最後は殿様といえど止められない「法の支配」がある。そう、ここにあるのは近代市民社会が築いてきた(それはイギリスの清教徒革命から連綿とつながってきた法=権力という構造の鏡写しでもある)市民の力なのである。

[正しいレビュー]

冒頭からエロシーン爆発で期待はいやがおうにも高まってしまう。バカだ。もう最初の音楽からバカ確定。そもそも題名が「徳川」で「セックス」で「禁止令」。これだけでご飯3杯いけるレベルである。

さらに徳川家斉が田中小実昌なのも大好き。お前、こんなの出てないで小説書きなさいよ。そしてわれらがバカキング、山城新伍も当然出演だ。今回はエロかっこいい役。鞍馬天狗を彷彿です。

海外の側室は黒人と白人。白人のテクニックにメロメロの殿様は「どこでこの技を習得した」「トルコでございます」好き好きギャグ。くすくす。

セックスの虜になった殿様はいままでこんな気持ちよいことをできなかったことに怒り、城内でセックス禁止と言い出す。いい迷惑だぜ。殿様。そのせいで忠実な部下は切腹。ただしそこは見所で三島の「憂国」のパロディ。いいぜ則文。首が飛んで花火ドーンにも大笑いだ。

さらには白人の側室を手籠めにしようとする権力者の目をロザリオで突き刺す。女たちはブラックスプロイテーションばりの展開で権力者を殺す。これなんかタランティーノ大好きじゃねえの(あ、僕も好きです)。このシーンが死ぬほどかっこよくて悶絶レベル。

さらには正室杉本美樹と側室、サンドラジュリアンが謎なきゃっきゃうふふシーン。なぜか全裸で砂浜を駆け、滝の前で飛び跳ね(当然スタジオ合成)さらにはお花畑を全裸で走り回る。もう大好き。

最後にはサンドラが逆さづりのまま海で拷問、そして絶命。ここら辺は「徳川女刑罰史牛裂きの刑」あたりの東映嗜虐趣味。ああ、おなじみが来たねとへらへら笑いましたよ。

全体として鈴木則文らしい、とってつけた教訓なれど見る者を釘づけにして離さない、そんな作品。ああ、2021のラストがこの映画でよかった~(織田裕二風に)
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