木蘭

徳川セックス禁止令 色情大名の木蘭のレビュー・感想・評価

2.0
 東映がフランスの人気ポルノ女優サンドラ・ジュリアンを招聘して制作した第二弾。
 徳川のお姫様が九州の女嫌いで有名な殿様に輿入れする事で巻き起こるドタバタを、昭和的な喜劇と残酷譚がない交ぜになったファンタスティック東映時代劇で描く。

 今回は脇役とは言えサンドラ・ジュリアンの出番は多めで、挿入歌「ジュテームはサヨナラのはじまり」まで歌ってくれます。
 渡辺文雄演じる悪徳商人の奴隷にされているサンドラが殿様を骨抜きにするのですが、白人なら「バテレン」「宣教師」「隠れキリシタン」という安直な連想でキャラ作りが行われ、ジャンル物ならこういうシーンが必要だよね・・・という定番イメージのフッテージ作りでサンドラは受難を受けます。
 サンドラはモノローグは母国語でも、他の台詞は日本語で頑張ります。なのに、渡辺文雄が大変に張りのある声で朗々とフランス語の台詞を喋るのは謎。

 基本は昭和喜劇なのですが、そうかと思ったら流行の武士道残酷物語的なエピソードをぶっ込んできたり・・・「女の切腹はマニアが居るから萌えるよね。」という感じで、統一感の無い撮りたいフッテージのアイディアを詰め込み・・・キャラクターもオールスター映画っぽくてんこ盛り。
 とは言え、絵作りにはセンスを感じるし、出演俳優達は皆上手く、特に京唄子と山城新伍は花があるよな・・・と同時に、その芸達者ぶりに関心。不覚にも噴いた。

 とにかくガチャガチャした映画で、これが東映が1972年のG.W.映画としてプッシュした娯楽大作なのか・・・。
 いかにも高度成長期の昭和娯楽映画で、ピューリタン的な男嫌いも女嫌いも食わず嫌いだろ?という描写は、今ならアウトだよな。

 しかしね・・・艶映画って出来不出来は別として、観終わった後に少しはホッコリとした気分になるのもですが・・・経営が傾いてポルノを作っていた日活と違って、ちゃんとした規模の時代劇が作れてしまう東映が、低予算三本撮りのユーロトラッシュ映画みたいな作品を作ると・・・なんかこう観終わって腹が立つのは何故だ?
 安っぽい手作り感って救いだったんだな・・・。
木蘭

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