東京は葛飾区、亀有駅のタクシー乗り場。男性ばかりの同僚に混じり、決して流暢と言えない日本語で不景気を嘆く一人の女性ドライバーがいる。山田静さん59歳。彼女は、母の祖国・日本へ来て22年目を迎えた中国残留邦人の二世だ。中国で二度、日本で一度の離婚を経て、異父兄妹4人の子を女手一つで育て上げた。誰に対しても物怖じせず、自身の主張は通す。弱音は吐かず、誰の手助けも借りたくない。そんな彼女の肝っ玉ぶりも、決して生まれながらに具わっていたわけではない。むしろ幼少時代は引っ込み思案で大人しい性格だったらしい。では、何が彼女をそうさせたのか? 日本に来てからは忙しく、病気する暇もなかったという彼女が腎臓を患い手術をした。 その際「長く大連の、母の墓を訪ねていないため、母が怒ったのでは」と思うのだった。彼女は二人の子を連れ中国に里帰りをする。 カメラもその里帰りに同行し、彼女の肝っ玉おっ母たるルーツを、彼女の半生を追い求める旅に出た。
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