ふうこ

シンプル・シモンのふうこのレビュー・感想・評価

シンプル・シモン(2010年製作の映画)
4.6

シモンはアスペルガー症候群の青年。触れられること、変化することがとても嫌い。好きなのは、宇宙とドラム、そして兄のサム。サムと一緒でないと心を閉ざし<宇宙船>であるドラム缶に籠ってしまうため、サムとその恋人の3人で暮らしている。しかしある日、恋人はシモンに我慢ならなくなりサムに別れを告げてしまう。そこでシモンは、サムにぴったり合う恋人を捜しはじめる・・・

は〜とてもすき。本編を通して、たっぷりの愛が詰まっています (*^ ^*) 決して押し付けがましくないのに、じんわりと確かに伝わってくる愛。また、北欧スウェーデンらしい、独特の大らかな空気感も充満していました。

“アスペルガー症候群”を単なる“個性的な特徴”のひとつとして自然に扱っているようなところも印象的。さすが福祉大国、北欧。「差別偏見、ダメ絶対‼︎」となるあまり障害に対して過敏になり、かえって見えにくい差別や偏見を蔓延らせてしまっている日本とは明らかになにかが違います。うーん具体的になにが違うんだろう・・・もっと北欧の福祉の在り方を学びたいと改めて思いました。

シモンがサムの恋人捜しに奮闘する中で「好きとは?」という疑問が浮かび上がってきます。全く同じ性格ではだめ、でも正反対だからといって上手くいくとは限らない。大切なのは、本人の気持ち。恋愛経験値の低い私は、うーんやっぱりむずかしいよ・・・とシモンと一緒に頭を抱えてしまいました(笑)

シモンがとてもサムを好きなこと、サムがシモンをとても思いやり大切にしていることがひしひしと伝わってきました。
サムはあまりにも優しく良い人。絶対に絶対に幸せにならないといけません!!シモンが選んだ恋人候補、イェニファーもなんとも魅力的な女性です。自然体で、心の温かな人。イェニファーも絶対に絶対に幸せになって!!・・・と、(今が不幸せそうだとかそういう意味ではなく)みんなの幸せを心から願いたくなります。終わり方も、とてもすきです。アスペルガー症候群に関係なく、「誰かが自分の外側から内側に入ってくる瞬間」が、たっぷりの愛に包まれて丁寧に描かれた作品でした。
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