たいち

ハニー・フラッパーズのたいちのレビュー・感想・評価

ハニー・フラッパーズ(2014年製作の映画)
2.7
映像が無駄に綺麗だったり、そこそこの人数のエキストラがいたり、ちゃんと映画を作ろうとしている感じがあって残念だった。僕が求めているのは手島優映画のような安っぽさ。頑張らなくて良いんだよ。

劇中の坂口杏里のセリフがその後の彼女の人生とリンクしていて複雑な気持ちになった。「この仕事(キャバ嬢)向いてないと思うんです」と劇中の坂口杏里は言うが、実際は歌舞伎町のリュアーグというキャバクラに現在(2020年7月)も勤務中。彼女の自伝『それでも、生きてく』の中で、この映画から得た知識や作法が、キャバ嬢としての仕事に活きていることが明かされていたが、何とも皮肉な話だ。念の為に言っておくと、僕は水商売という職業にネガティブなイメージは全く持っていない。しかし、同じく『それでも、生きてく』の中で、水商売からは足を洗いYouTuberになることを宣言したにも関わらず、YouTubeチャンネルの更新を止めて再びキャバ嬢として働き始めた彼女を見ると、果たしてこれで本人は満足しているのかと考えてしまう。しかし、これこそが坂口杏里の最大の魅力だと僕は思う。彼女の人生は有言不実行の連続だ。その理由は運が悪かったり、本人の行いが悪かったりと様々。世間の人はこの点において、坂口杏里を過剰なまでに叩いているが、誰にそのような権利があるのだろうか。僕も一度決めたことを守れないので、彼女の気持ちがとてもよく分かり、自分自身を重ねてしまうことがある。しかし、誰もがそのような部分を持っているはずだ。どんなに社会的に優れたとみなされる人だって、少なからず坂口杏里的な一面を持っている。それにも関わらず、新たなことに取り組もうとする彼女の変化を許さず、叩き続ける。彼女はきっとまた失敗するだろう。でも、それで良いのだ。他人の失敗に厳しい世の中など無くなった方がマシだとすら思う。これからも僕は坂口杏里の生き様をツイッターとインスタグラムでそっと見守り続けたいと思う。このレビューを読んだ方は是非、『それでも、生きてく』を読んで、彼女が出演した『ザ・ノンフィクション』を見てほしい。下手な生き方でも彼女なりにもがき続ける姿は、きっと人生の指針になるはずだ。
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