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おやすみなさいを言いたくての&yのレビュー・感想・評価

3.9
【(5)2015/1/7:渋谷シネパレス】
ジュリエット・ビノシュがカメラマンて!「存在の耐えられない軽さ」の初々しいテレザ!胸熱!…というだけの興味で観たけど、良い作品でした。

報道カメラマンのレベッカは命がけの仕事をしてるけど、それは同時に母であり妻であるレベッカの不在を意味し、家族は常にレベッカを失う不安に苛まれる。
そんなレベッカと家族がどう選び、どう生きるか。これ、(特に)女性にとってすごい普遍的な話じゃないかな。

レベッカが写真を撮らざるを得ないのは、すごく本能的なところに起因すると思う。ミクロで家族を満たすよりマクロでたくさんの人を救いたいという、生存本能めいた、動物的本能。でもその本能を呼び起こすのは娘や家族の存在、即ちとても人間的な愛で。
「選択」の「結果」であるはずの人生には予めこういう二面性が含まれていて、だからややこしくって難解で、自身が「選択」したはずの「結果」の中で迷ったりするんだなと、ラストカットのレベッカを見てて思った。

レベッカは結局おやすみなさいを言えないし、自分の無力さに苛まれたりもする。でもああいう風に生きるしかないのだろう。レベッカの選択をどう評価するか、そこにその人の人生観が如実に顕れると思う。
ちなみにわたしは「理解してくれない家族(っつーかダンナ)なんてほっといてさっさと戦場行っちゃえよ!レベッカさんにしかできないことが山ほどあるんだぜ!」とか思ったもはや救いようない自己中わがまま中年なので、もっと他人の幸せのために葛藤しろよと自戒。
長女の選択には打たれたけど、正直ダンナのキャラはイマイチと思ったわたしは、やはり自己中すぎるんだろうな。


あと、ドキュメンタルなシークエンスが(実際はあんなもんじゃないんだろうけど)すごいリアルでめちゃくちゃ怖い。これ重要。先日報じられたナイジェリアの少女自爆テロのニュース、震えました。
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