くりふ

宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海のくりふのレビュー・感想・評価

3.0
【40年経ってもインナースペースシップだ】

リメイク版TVシリーズは、なんちゃって戦争マンガとして、かつてのファン向けエクスプロイテーションとして、DVDで気軽に楽しんでいました。

CGはペラペラだけど全体、実写版よりずっと受け入れ易いし、ヤマトガールズはムフフだし、新たな切り口で興味深いところもありました。どこかずっと、欠損感は引きずったままではありましたが。

DVDでしたが、こうして再編集版でまとめてみると、肝心なところが随分抜けたな…とは思いつつ、ヤマトについて改めて考えるいい機会にはなりました。

宇宙戦艦ヤマトって、今では幽霊船だと思います。

敗戦の記憶を持つ世代が蘇らせた、キノコ雲の中から発進する一作目の冒頭は、とても象徴的でした。今度は戦艦大和で戦って勝ちたい、という願望もあったのでしょうね。

そもそも、わざわざ意匠を生かしスクラップ使って宇宙船建造って、まるで現実的ではありません。これは願望が生んだ船でしょう。

いま次の世代がリメイクするなら、ヤマトでなければいけない、説得力ある理由が欲しいです。なんか足りないなー、と感じてしまうのは、まずはこの点。

逆説的ですが、ヤマトがヤマトである限り、何やっても島国から外に出られない気がするのです。

ガミラス側には民族の問題を若干入れていますが、例えば西欧とイスラムの対立のような、現実的な構造をもっと反映させたら説得的だったと思う。

そこに日本から出航したヤマトがどう関わるかって、とても興味湧くのですが。いっそ、この時代も自衛隊が続いているって設定の方がよかったりして。

リメイク版でよかったのは、波動エネルギー武器転用問題を出したことですね。だからこの再編集版でも、波動砲の初回使用場面は残してほしかったですが。

で、この点でイスカンダルよ、お前もか!となる話もよかったのですが、やっぱりガミラスとイスカンダルの関係も、もっとアクチュアルにした方がよかったと思います。こうしたことをクリアすれば、実写化しても海外に売れると思うんだけどなあ…。

いや単純に、デスラーを見ていたらマッツ・ミケルセンが嵌りそうだなあ、なんて考えちゃったんですが。あと民族の配置によっては、ボリウッド美人によるスターシャだってアリだと思う。

…なんてことを、つらつら考えてしまいまいましたとさ。

ちなみに、本作一番の欠点は、ワープでの伝統「森雪透け」場面を残さなかったことだと思います!(キッパリ)

<2015.3.18記>
くりふ

くりふ