Donatello

やさしい本泥棒のDonatelloのレビュー・感想・評価

やさしい本泥棒(2013年製作の映画)
3.6
「本泥棒」という物語を知らなくてですね、タイトルとパッケージから「本を盗む代わりに何か良いことを一つしていく怪盗少女」みたいなほのぼのとした話かと思ったら、思う存分戦時下ナチスドイツのお話だったっていう。

まぁ(心が)やさしい本泥棒って事なんでしょうけど。でもね、別に泥棒じゃないわけですよ。結果的に借りパクなだけで。あ、それ泥棒ですね。

戦時下のナチスドイツで養子に出された女の子の話だったんですけども、読み書きできないところから本に興味を持って読み漁りながら、養父母や近所の男の子、ユダヤ人の青年との交流を通して心の成長を描く、どこかにない事もなさそうな話ですけども、端的に言えば「やさしく学ぶホロコースト」みたいな、題材の割りに凄惨な描写の少ないやっぱりやさしい映画でしたね。

主人公の女の子がとても目のパッチリした不思議な魅力の女の子で、きっと将来美人になりそうな、25歳ぐらいになったらセクシー女優になってくれるとオジサン喜ぶよ的な子で良かったです(何が。

それはさておいても、養父母を演じるジェフリー・ラッシュさんとエミリー・ワトソンさんが素晴らしくてですね、奥さん曰く「ロクデナシのブタ親父」という酷い言われようの優しいパパと、もう接続詞が「ロクデナシ」なんじゃないかという、だけどもやっぱり根は優しいママが抜群で、特にエミリーさんの『戦火の馬』の時とはまた一味違う肝っ玉かあさん素敵です。「縛って逆さ吊りにするわよ!」っていうシーンのエミリーさんの顔に思わずクスッとしました。

ナレーションはどの役の人かなぁ思ってたら、想像を超えてくるジョー・ブラックみたいな奴だったという。

借りた本は返そう、という事も学べるなかなかの佳作だと思います。
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