GOODNIGHT

インサイド・ヘッドのGOODNIGHTのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
3.8
ピクサーの教科書のような映画である。
ピクサーらしさが詰まっている。例えば、ファンタジーだが妙にディテールが凝っていて司令室のコントローラーや思い出の投影装置などがいちいち細かい。これがピクサー映画の特徴であり大好きなところだ。

ディテールばっかりに拘って失敗してる日本アニメは数多くあるが、(最近ヒットしないリアル系ロボアニメなど)さりげなく凝ったデザインがとても世界観を引き締めている。鉄道の描写もレールをはじめとした走行装置が進行に合わせて出現する様子はさりげないが普段、なんとなしに鉄道を眺めている時に必ず視界には入っているモノは映像に反映させる。これが違和感をなく現実世界と映画世界をシームレスにしているのだ。
(つまり、意識はして見ていなくとも鉄道には架線や枕木などの色々な装置が走行には必要でそれらがアニメに登場しないと無意識にそれは現実の鉄道ではないと感じて客観的にしか物語を捉えられない。自分ごとにならない。感情移入を阻害される。)

こういった直接的にストーリーには関わらない部分が間接的にストーリーを下支えして重厚な仕上がりにするというメソッドをそろそろ日本アニメも気づくべきではないだろうか。


そういった技術的な部分はさておき。。

とにかく、象が死ぬシーンで涙腺が崩壊した。。

どうもああいった自己犠牲を見せられると泣いてしまう。
あの奈落の底で、最期まで明るく振る舞って諦めない気持ちを叶えるために自分を犠牲にするその姿に感動した。
自己主張が強いと言われているアメリカであっても、むしろそのアメリカの方がサクリファイス精神に富んでいるのか。
日本のアニメでは感動させるためにあの手この手で演出するから白けるが、ピクサーではあのほんの一瞬で感動させるから素晴らしいと思う。
観客には象の死を悼む余韻があるものの、ストーリーではその死を受け止める時間もなく進む。

よろこびの声優が竹内結子だと知って、またジーンとした。

こんな素晴らしい演技をする女優を失った日本社会はやはり暗いと感じてブルーな気持ちになった。

次回作は劇場でみたい。
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