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インサイド・ヘッドのdeenityのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
3.3
ピクサーの手掛ける人の頭の中の世界。人間をコントロールするのは様々な感情であり、実際それを映画にされると意外とその発想はあり得るのかもなって思えたりもして、面白い着眼点だと思った。

人の頭の中にはヨロコビ、カナシミ、イカり、ムカムカ、ビビりの五つの感情があって、それを表情だけでなく、色とりどりでカラフルな色彩で表現したのは面白い。豊かな彩りは目で楽しむこともでき、時に暗い世界に陥った時、その世界観との対比も上手い。ストーリーだけでなく、はっきり映像として明暗が表現されているのはよかった。

ただ、一方ではピクサーシリーズとしては珍しい主人公の不在。誰かしらに感情移入するからストーリー展開と共に一喜一憂できるのだが、今作ではそれをどこに置いていいか全く定まらなかったのは難点。
当然メッセージとしては様々な感情のバランスを取らなければ人間はコントロールを乱してしまうということなので、一つの感情がスポットを当てられたならば本作の主題と矛盾する。
それでもやはり主人公の不在というのはこの設定上避けられない部分であり、個人的にはそこがネックに思えた。

しかし、テーマとしては面白く、最近子ども用の絵本とかでもすごく怖いような内容のものとかが増えているらしいのだが、本作はその類いのアニメーション映画となり得るのではないか。
何にしても自分が一番考えさせられたのは、カナシミが受け入れられて必要とされたこと。カナシミはない方がいいけど必要な感情とされたこと。
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