わたがし

インサイド・ヘッドのわたがしのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
5.0
 脳の中なんかいつだってごちゃごちゃで曖昧、とてもじゃないが形になんかならなくて、そこで何千種という意味のない感情がウヨウヨ這っている、そんな感じなのだ。少なくとも自分にとって脳の中っていうのは。
 決して本作のように感情の個々にキチンと名前がついていたり、記憶のひとつひとつがあんな綺麗に整理整頓されていたり、あんな合理的に脳空間内の仕組みが会社組織のように完成されていたり(まるで同監督のモンスターズインクのよう)しないのだ。
 だから序盤の世界観の説明のあたりから、純粋にアニメーションの美しさに涙しながらも、頭の中では「は?」という感じだった。脳の中って、そんな具体的であっていいのか…?と不安になる。
 しかもお話がとてつもなく面白くて、ちゃんと泣きどころもライリーの描きぶりもじゃんじゃか素晴らしくて、作品としてのクオリティの高さを感じれば感じるほど「俺の脳内はこんなにハイクオリティじゃないぞ…!!」と憤りを感じてしまう感じに。途中で「これは、あなたの物語」という触れ込みを思い出し、更に追い詰められる。どう考えても俺の物語じゃない。誰の物語なんだこれは…?
 
 そんな理屈どうこう抜きに考えると、カナシミやムカムカではなくヨロコビに一番親近感を覚えてしまった自分は以外に明るい人間なのかなと思ってしまったり、ムカムカがかわいすぎて抱き締めたいな、ぬいぐるみ欲しいな、と思ってしまったりで、やっぱりドリカムPV企画考えた人にそもそも感情はなかったんだなと思いました

【2回目】
 やっぱり感情というデリケートな題材を扱いながらも「これはこういうことだ!」という断定的で自分の想像力で補う余地のない描き方が好きになれないのだなと思った。
 それにしてもヨロコビ、あんなに激しく踊ったりパイプの逆風に吹かれたりしているのに、一切スカートがめくれる兆しすら見えないのが笑えるし、そういうところに一番ディズニーの素晴らしさも闇も同時に感じる。
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