あきら

マッドマックス 怒りのデス・ロードのあきらのレビュー・感想・評価

4.5
闘争か、逃走か。
肉体から沸き起こるアドレナリンと、心に潜む狂気。
それでも魂が眠る場所はまだ見ぬ遠い大地なんかではなく、どこまで行っても人の中にしか有り得ないのだ。

出てくる飲み物は水か母乳、食べ物は生きたトカゲか生きた虫!
液体というカテゴリで見ても水と血と母乳とガソリンの4種類しかない!(アルコールは無し!)
完全に乾ききってイカれた、MADがMAXな世界でマックスとフュリオサが出会い、FURY ROADを駆け抜けるだけの物語。
予習は必要無し!

セリフが少なく、キャラクタがその行動で使命と意思を表現していくところに、ものすごい生命力を感じてしまう。
人間である以前に生き物で、その命に正しい文法の言語は必ずしも必要ないのだ。
ただその動きを目に焼き付けるだけでいい。

"We are not things."
子供を産むからと大事にされてきた女たちが「でもそれだけじゃなんか違うんだよ」と女も男も等しく死ぬ世界に生まれ変わる。
確かに理不尽だし辛いだろうけれど、イモータン・ジョーに可愛がられていれば死ぬ運命にはなかっただろうに、どうしてわざわざそんな危険なことをするのか。

"What a lovely day."
少し違う視点から見れば、ウォーボーイズ(短命の少年たち)に生きがいを与えているイモータン・ジョーはそんなに悪い人間ではない。
それでも彼のために死んでいくのは本当に幸せなのか?
(リスニング能力が低いので)英語なのかオーストラリア英語なのか"What a lovely die."にも聞こえる愉快な虚しさが、やがてその価値に気付くことで転換する。
その命の爆発力が3Dの効果が一番際立つ場面で発揮されたときには、同時にこちらの意識も霧散しかけた。

強い者、強くなっていく者、強さではないと気付く者。
この三者三様の生きざまにずっと乳首いじってるおじさんや銃弾の新しい使い方を提示してくるデンデラ軍団が絡んできてハチャメチャなのだけど、映像が伝えてくるメッセージは至極シンプルで分かりやすいから、暴力が苦手でない限り是非見に行ってほしい。
あきら

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